目指したのは経験のビジュアル化!
本書は、実践編として「何で、そうなるの? 痒いところに手が届く」をテーマに、血液形態学の真髄に挑戦しています。
日常行われている「形態検査の流れ」を振り返り、形態学の定性評価を可能な限り定量的評価にもっていくことや、病態生理学的根拠を追究し疾患を考えることなどに重点をおいています。
さらに、学生に血液形態学に馴染んでいただくため、スケッチによる「細胞の描写法」や、細胞の鑑別をわかりやすく解説した「細胞の綴り方鏡室」を盛り込みました。
また、日常激務の技師向けに、見逃しは許されない細胞を「形態パニック値」と称し、その捉え方と報告についても触れています。
血液形態検査のガイドブックとして、形態診断ならびに臨床診断への手助けにしてください。
Ⅰ 光顕的手法に基づく血液形態検査 ~形態検査の流れに潜むピットフォール~ 阿南建一
1. 形態検査の流れ
2. ピットフォールはこれだ!
Ⅱ 血液形態検査の基礎知識 ~理解しておきたい形態診断の知識~ 阿南建一
1. 血球の分化・成熟に伴う一般的原則
2. 好中性顆粒球の分化・成熟
3. 好酸性/好塩基性顆粒球の分化・成熟
4. 赤血球系の分化・成熟
5. 単球系の分化・成熟
6. リンパ球系の分化・成熟
7. 血小板系の分化・成熟
8. 異常所見の着眼とその秘策
9. 細胞同定の論理的方法
10. 細胞同定の着眼ポイント
Ⅲ 血液形態検査の実際 ~検査前から検査後までの着眼と留意点~ 牟田正一
1. 検査前の着眼と留意点
2. 検査時の着眼と留意点
3. 検査後の着眼と留意点
4. 未来構想図
Ⅳ 血液細胞の形態観察法 ~実写とスケッチによる観察上達法~ 阿南建一,唐仁原彩瑛
1. 血液細胞アトラスとの出会い
2. 血液細胞の実写とスケッチによる対比
3. 血液形態の綴り方鏡室
Ⅴ 血液細胞の形態異常同定法 ~形態異常の捉え方とその秘策~ 阿南建一
1. 末梢血・骨髄の構築を知る
Ⅵ 血液細胞の機能的観察 ~急性炎症反応と好中球~ 岡﨑智治
1. 急性炎症反応
2. 急性炎症時における血管内皮細胞,血液凝固・線溶系の変化および好中球の役割
3. 全身性の炎症反応(全身性炎症反応症候群 : SIRS)
4. 新しく報告された好中球の抗菌機構
Ⅶ 血液細胞の特殊染色 ~光顕的診断の効果的な役割~ 阿南建一
1. 特殊染色の位置づけ
2. 血液細胞に証明される物質
3. 特殊染色の原理
4. 特殊染色の実施状況
5. 特殊染色の判定法と診断
Ⅷ 血液細胞の表面抗原検査 ~造血器腫瘍の起源と性格を探る~ 鶴田一人,中川典子,渕上麻衣,長谷川寛雄,栁原克紀
1. 検査の目的
2. 試料の採取方法,保存条件
3. 測定法(末梢血,骨髄血)
4. 判定基準
5. 生理的変動
6. 臨床的意義
7. 関連検査項目
Ⅸ 造血の分子機構 〜血球を産み出す分子たち〜 梅村 創
1. 造血の発生
2. 造血幹細胞を制御する遺伝子群
3. 造血細胞の分化に必要な遺伝子群
4. その他の調節遺伝子
Ⅹ 白血病の遺伝子異常 ~遺伝子の傷~ 梅村 創
1. 癌遺伝子・癌抑制遺伝子
2. 白血病の遺伝子異常
3. 白血病のエピジェネティック異常
4. 白血病の遺伝子検査
5. miRNAと造血
Ⅺ 染色体検査の基礎知識 〜核型分析ヘの糸口〜 生田幹博
1. 染色体の構造
2. 染色体検査
Ⅻ 血液疾患におけるリンパ節病変の見方・考え方 〜リンパ球系を中心に〜 松本慎二
1. リンパ節の基本構造とリンパ球の分化・成熟
2. 炎症性(非腫瘍性)リンパ節病変の組織・細胞像
3. 悪性リンパ腫
4. 血球貪食症候群と関連の深いリンパ節病変
Ⅰ 反応性疾患の形態診断プロセス 手登根稔
1. 白血球系
2. 血小板系
Ⅱ 貧血症の形態診断プロセス 須田正洋
1. 多能性前駆細胞異常
2. 赤芽球系前駆細胞異常
3. 核DNA合成障害・赤芽球早期崩壊
4. 細胞質異常(ヘム異常)
5. 細胞質異常(グロビン異常)
6. 破壊の亢進・寿命の短縮
7. 出血
Ⅲ 造血器腫瘍性疾患の形態診断プロセス 阿南建一
1. 急性骨髄性白血病(AML)
2. 系統不明な急性白血病
3. 急性リンパ性白血病(ALL)
4. 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
5. 好酸球増多症および
PDGFRA, PDGFRB, FGFR1遺伝子異常を伴う骨髄性/リンパ性腫瘍
6. 骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)
7. 骨髄異形成症候群(MDS)
8. 悪性リンパ腫(ML)の診断アプローチ
Ⅳ 骨髄転移性腫瘍細胞の形態診断プロセス 亀岡孝則
1. 転移の現場はどうなっているのか
2. 標本観察の基本は変わらない
3. 常識から外れたがる腫瘍細胞
Ⅴ 形態診断のパニック値(形態パニック値) 阿南建一,須田正洋
1. 量的パニック値
2. 形態パニック値
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